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高血圧 high_blood_pressure

高血圧とは

血圧とは、心臓から血液が全身の各器官へと送られる際、血管壁に加わる圧力のことを言います。この血圧が基準とされる数値を慢性的に超えていると判定されると高血圧と診断されます。収縮期血圧(最高血圧:心臓が収縮して血液を送り出し、血管に圧力が最もかかっている状態です)と、拡張期血圧(最低血圧:心臓が拡張して血液を取り込んでいる状態)があります。

診察室血圧≧140/90㎜Hg、家庭血圧≧135/85㎜Hgを高血圧ととらえます。日を違えた複数の機会で測定するか、あるいは家庭血圧でも高血圧と確認することが大事です。大迫研究により,家庭血圧は診察室血圧よりも優る心血管系疾患による死亡の予測能を有することが示されており、家庭血圧を毎日測定することは大事です。 朝起きて排尿済ませて、朝食を食べる前に血圧測定し、夜も寝る前に測定してください(飲酒・入浴・カフェイン摂取直後は避けます)

白衣高血圧  1. 診察室血圧が収縮期血圧140mmHgかつ/または拡張期血圧 90mmHg 以上で,家庭血圧 が収縮期血圧135mmHg 未満かつ拡張期血 圧 85mmHg 未満あるいは ABPM での 24 時 間平均血圧が収縮期血圧130mmHg未満か つ拡張期血圧 80mmHg 未満である場合。 白衣高血圧は非高血圧と比較して、将来的な脳心血管病イベントリスクが高いため,注意深いフォ ローが必要です。

仮面高血圧  1. 診察室血圧の平均が収縮期血圧 140mmHg 未満かつ拡張期血圧 90mmHg 未満で,家庭血圧測定が収縮期血圧135mmHg 以上かつ / または拡張期血圧 85mmHg 以上あるいは ABPM での 24 時間平均血圧が収縮期血圧 130mmHg 以上かつ / または拡張期血圧 80 mmHg 以上である場合,仮面高血圧と定義されます。未治療の仮面高血圧の脳心血管病リスクは持続性高血圧と同程度であり高血圧と考え治療が必要です。

合併症に注意

高血圧の主な症状ですが、慢性的に血圧の数値が上昇しても自覚症状がみられることは、ほぼありません。ただし、この状態が続くと、心臓から体の各器官へと血液が送られる際に血管壁に強い負荷がかかります。これが血管壁に損傷を与え、次第に血管自体は肥厚化し、血管内部は脆弱化するなど、動脈硬化を促進させます。

更に放置が続くと、血管の狭窄や閉塞がみられるなどして合併症のリスクが高まります。具体的には、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や心不全などの心臓病、腎臓病(腎硬化症、腎不全)、脳血管障害(脳卒中 等)など重篤な病気です。このような状況にならないためにも、健診の結果などから血圧の数値の異常を医師から指摘された方は、一度ご相談ください。

また高血圧緊急症で非常に血圧が高い場合は頭痛、めまい、頭痛、悪心、嘔吐、けいれん、意識障害、乏尿、視力の急激な低下などの症状が現れることもあります。この場合は命にかかわるため、早急に受診し、脳、眼、腎、心臓などの心血管系臓器に進行性の障害が生じている状態かを評価することが大事です。

高血圧の原因は本態性と二次性の2種類

高血圧発症の原因は、主に2つあるされています。ひとつ目は、日本人の全高血圧患者様の8~9割を占めるとされる本態性高血圧です。これは原因が明らかではありませんが、遺伝的要因や高血圧になりやすい体質であることに加え、加齢や不摂生な生活習慣が組み合わさるなどして発症するのではないかと言われています。

もうひとつは二次性高血圧です。これは、原因を特定できる高血圧になります。原因疾患としては、腎実質性高血圧や腎血管性高血圧、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、先端巨大症、甲状腺疾患、副甲状腺機能亢進症、レニン産生腫瘍、肥満、遺伝性、薬剤性(漢方甘草による偽性アルドステロン症、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド、抗がん剤など)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などで高血圧が引き起こされるということもあります。

詳しくはこちら2次性高血圧をご参照もください

その他薬剤の影響(漢方の甘草による偽性アルドステロン症、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド、抗がん剤など)による薬剤誘発性高血圧、閉塞性睡眠時無呼吸症候群で引き起こされるということもあります。

降圧目標

高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)それぞれの場合に応じて下記のとおりの血圧を指標にします。

  診察室血圧
(㎜Hg)
診察室血圧
(㎜Hg)
75歳未満の成人
脳血管障害菅患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし
冠動脈疾患患者
CKD患者(尿蛋白陽性)
糖尿病患者
高血栓薬服用中
<130/80 <125/75 
75歳以上の高齢者
脳血管障害菅患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)
CKD患者(尿蛋白陰性)
<140/90 <135/85
高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)より

治療について

本態性高血圧の患者様につきましては、日頃の生活習慣の見直しから始めていきます。食事面では、塩分の摂取量を1日6g未満とします。またカリウムの成分を多く含む野菜や果物を積極的に摂取し、体内から塩分を排出するようにします。

さらに身体を動かすことは血圧を下げることにもつながるので日常生活に取り入れます。内容に関してですが、ハードな運動量は逆に血圧を上昇させるので要注意です。具体的には、軽めからやや息が上がる程度の有酸素運動(軽度なジョギング、サイクリング、水泳 等)を1日30分以上、できれば毎日行うようにします。

肥満の方は適正体重(BMI25未満)を目指して減量するほか、お酒を飲む方は節酒、喫煙者の方は禁煙をするなどしていきます。

上記だけでは、血圧が目標の数値まで下がらない場合には薬物療法も併行します。この場合、降圧剤が使用されます。降圧薬としてはCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、MR拮抗薬、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬などがありますが、患者様の高血圧の状態によって、1種類で血圧コントロールが良い場合もあれば、複数を組み合わせて処方することもあります。

2次性の高血圧については原因疾患に対する治療(手術や内服)をおこないますが、肥満、本態性高血圧および長期に高血圧が持続し動脈硬化や臓器障害が進行している場合は高血圧が改善しない場合もありますので、生活習慣を見直し、減塩につとめ、さらに降圧薬が必要なことがあります。

しかしながら、高血圧をもたらすホルモンの作用をブロックすることや生活習慣病の是正は、虚血性心疾患・脳梗塞・腎不全などの発症リスクを下げるのに大変大事なことです。2次性高血圧の早期発見が大変重要ですので、若くして血圧が高い方や重症高血圧、治療抵抗性高血圧、急激な高血圧発症がある方は是非ホルモンの検査を受けることをお勧めいたします。

当院では難治性高血圧や2次性高血圧につき研究し、現在も大学の内分泌内科外来で週1回診療しております院長が診察し、さらに精密検査が必要な場合は所属する慶応義塾大学病院や提携する総合病院等に御紹介いたしますので是非ご相談ください。