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train麻布十番駅より徒歩3分
tel03-3455-5577
東京都港区麻布十番2-18-8 ABAアサミビル2階

骨粗鬆症 osteoporosis

骨代謝

骨は、他の器官と同様に「代謝」を繰り返しています。骨代謝にはエストロゲンという女性ホルモンが関係しているとされていますので、女性の場合においては、エストロゲンが減少する閉経後に、骨粗鬆症になってしまうリスクが高まります。50歳を迎えると、女性は急激に骨折しやすい状態へと変わってゆきます。

50歳以降、加齢につれて骨粗鬆症の有病率は高まり、60歳代女性の約5人に1人、70歳代女性では3人に一人が骨粗鬆症とも言われています。40代半ばまではほぼ一定を維持し、50歳前後から低下します。腰痛がある方や40代の後半になったら骨密度検査を受けたほうがよいでしょう。

当院では、DEXA法(腰椎・大腿骨)による骨密度検査を行います。それと同時に骨マーカーやカルシウム、ビタミンDなど採血検査を行い、骨密度の程度とあわせて治療の方針を決めます。骨粗鬆症は自覚症状がほとんどありませんので、早期発見・早期治療には骨密度検査が重要になります。

当院の検査の所要時間は10分程度です。当日検査できますので、お気軽にお立ち寄りください。

骨粗鬆症とは

何らかの原因で骨が折れやすくなる病気が骨粗鬆症です。具体的には、骨を作る骨芽細胞と骨を破壊する破骨細胞のバランスが崩れることで、骨密度(単位面積あたりの骨量です。骨量とは骨の中に含まれるカルシウムなどの量)は低下し、骨の中身はまるで鬆(ス)が入っているかのようなスカスカした状態になっています。骨折しやすくなり、腰痛や身長が縮まります。

骨粗鬆症の診断基準①:軽微な外力によって発生した非外傷性骨折(腰椎・大腿骨近位部)、②:①以外の軽微な外力によって発生した非外傷性骨折と骨密度がYAMの80%未満、③:脆弱性骨折がない場合に骨密度がYAM*の70%以下または−2.5SD以下 *YAM:若年成人平均値(腰椎では20~44歳、大腿骨近位部では20~29歳)

原発性骨粗しょう症と続発性骨粗しょう症があります。

原発性骨粗鬆症の診断は、骨粗鬆症の基準を満たし、低骨量をきたす骨粗鬆症以外の疾患や続発性骨粗鬆症の原因を認めないことが前提です。加齢性や妊娠後などがあります。

続発性骨粗しょう症は多岐にわたります。

内分泌性

副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、Cushing症候群

栄養性

吸収不良症候群、胃切除、神経性やせ症

薬剤性

ステロイド、性ホルモン低下療法、SSRI、ワルファリン、ヘパリン、MTXなど

その他

臥床安静、骨形成不全症、その他:関節リュウマチ、糖尿病、慢性腎臓病、肝疾患、アルコール依存症、骨軟化症、悪性腫瘍の骨転移、多発性骨髄腫など

骨粗鬆症の危険因子

除去できない危険因子

加齢、性別、家族歴、遅い初潮、早い閉経、過去の骨折

除去できる危険因子

カルシウム不足、ビタミンD不足、ビタミンK不足、リンの過剰、食塩の過剰摂取、ダイエット、運動不足、日照不足、喫煙、過度の飲酒、多量のコーヒー

検査について

積極的に骨密度の検査をお勧めする方

  • 65歳以上の女性、70歳以上の男性
  • 65歳未満の女性、あるいは50歳以上70歳未満の男性でも、危険因子や続発性骨粗しょう症のリスクある方

危険因子(アルコールを多く摂取する、喫煙をしている、大腿骨近位部(太ももの付け根部分)骨折の家族歴がある)や脆弱性骨折(軽度の外力によって起こる骨折)を起こしている方、骨密度の低下や骨量の減少を起こしやすい病気になっている、またはそれを引き起こす薬を服用している続発性骨粗しょう症のリスクがある方はその時点で積極的に検査を勧めます。早発閉経、原発性無月経、閉経前の両側卵巣摘出既されている方も早めの検査をお勧めします。

骨粗鬆症の診断における骨量測定は躯幹骨を測定するDXA がゴールデンスタンダードとされております。当院では大腿骨・腰椎のDXA法による骨密度検査が行っておりますので、ご相談ください。

DXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry:二重エネルギーX 線吸収測定法)では、二種類のX線をそれぞれ異なる部位(多くは腰椎と大腿骨頸部)に照射し、骨密度を測定していきます。その結果、20~44歳の若年成人の骨密度の平均値の70%未満と判定されると骨粗鬆症と診断されます。70~80%であれば骨量減少、80%以上であれば正常と診断されます。

そのほか骨代謝マーカーやビタミンD、カルシウムなど骨粗しょう症に関連した採血をします。

治療の適応ついて

骨密度検査から上記の診断基準に骨粗鬆症と診断された方は治療の対象です。それ以外では骨量減少と判定された閉経後女性及び50歳以上の男性では,臨床的な骨折危険因子として,大腿骨近位部骨折の家族歴を有する方では治療の対象です。またWHOのプロジェクトで開発された骨折リスク評価ツールであるFRAX Ⓡにより予測される今後 10 年間の骨粗鬆症性骨折確率が 15%以上の当てはまる場合に薬物治療の開始が勧められています。

必要な情報は,年齢,性別,身長,体重,骨折歴,両親(いずれか)の大腿骨近位部骨折歴,現在の喫煙の有無,糖質コルチコイド内服の有無,関節リウマチの有無,続発性骨粗鬆症の有無,アルコール換算で 1 日 24 g以上の飲酒,大腿骨頸部の骨密度の項目をチェックします。骨密度はわからなくても計算してくれます。

上記のリスク因子以外にも2 型糖尿病、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が骨折リスク上昇と強く関連することが示されています。 その要因には酸化ストレス増大やビタミンD不足が共通の骨代謝障害因子として認められ、慢性腎臓病では続発性副甲状腺機能亢進症が、COPDでは慢性の低酸素が骨折のリスクに関連していることが想定されています。

治療について

骨粗鬆症は、骨の生活習慣病とも呼ばれます。そのため、日頃の生活習慣も見直していきます。食事面では、カルシウムやビタミンDやKなどを多く含む食品やサプリメントを摂取します。

痩せすぎは年齢に関係なく、骨粗鬆症のリスクが高いです。骨を丈夫にするためには、骨に負荷をかける適度な運動も必要です。内容としては、ウォーキングやジョギングなど中強度の有酸素運動、転倒防止のために体幹を鍛えることも重要です。

上記の環境をしっかり整えたうえで薬物療法も行います。種類としては、活性ビタミンD製剤、ビタミンK薬、骨吸収抑制薬(ビスホスホネート、選択的エストロゲン受容体モジュレーター:SERM、抗RANKL抗体デノスマブ 等)、骨形成には欠かせない骨芽細胞の働きを促進させる骨形成促進薬(PTH製剤 等)などが用いられます。